「自社の生産性を向上させたい」「新しい設備を導入したいけれど、資金面が心配…」

このようなお悩みを持つ中小企業の経営者の皆様へ。今回は、設備投資を力強く後押しする「先端設備等導入計画」について、その概要からメリット、申請方法まで詳しく解説します。この制度をうまく活用し、企業の成長を加速させましょう!

1. 「先端設備等導入計画」とは?

「先端設備等導入計画」とは、中小企業が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。具体的には、計画期間内(3年間、4年間、または5年間)に、労働生産性を年平均3%以上向上させることを目標とし、そのために必要な先端設備等を導入する計画を策定します。

この計画は、設備を導入する場所の市区町村が策定した「導入促進基本計画」に適合している必要があり、その市区町村から認定を受けることで、様々な支援措置を活用できるようになります。

計画のスキーム(流れ)

  1. 中小企業者:自社の労働生産性向上目標や導入したい設備などを盛り込んだ「先端設備等導入計画」を作成します。
  2. 認定経営革新等支援機関:中小企業者が作成した計画が、労働生産性向上の目標達成に資するかなどを事前に確認します。(商工会議所、商工会、金融機関、士業などが該当します)
  3. 中小企業者:認定経営革新等支援機関の確認書を添えて、市区町村へ計画の認定を申請します。
  4. 市区町村:申請された計画が、国の基本方針や自らの導入促進基本計画に適合するかなどを審査し、認定します。

2. 誰が対象になるの?(計画認定の対象者)

この計画の認定対象となるのは、中小企業等経営強化法第2条第1項に定められた「中小企業者」です。具体的には、以下の表に示す資本金の額または出資の総額、もしくは常時使用する従業員数のいずれかの要件を満たす会社および個人事業主などが該当します。

業種分類資本金の額又は出資の総額常時使用する従業員の数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下
ゴム製品製造業*3億円以下900人以下
ソフトウェア業・情報処理業3億円以下300人以下
旅館業5千万円以下200人以下

*自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

注意点: 後述する固定資産税の特例措置については、対象となる中小企業者の規模要件が上記と異なる場合がありますのでご注意ください。

3. 計画の主な要件は?

市区町村から「先端設備等導入計画」の認定を受けるためには、以下の主な要件を満たす必要があります。

  • 計画期間: 3年間、4年間、または5年間であること。
  • 労働生産性: 計画期間において、基準年度(直近の事業年度末)と比較して労働生産性が年平均3%以上向上すること。
    • 労働生産性 = (営業利益 + 人件費 + 減価償却費) / 労働投入量(労働者数 または 労働者数 × 1人当たり年間就業時間)
  • 先端設備等の種類: 労働生産性の向上に必要な、生産、販売活動等の用に直接供される以下の減価償却資産であること。(※中古資産は対象外)
    • 機械装置
    • 測定工具及び検査工具
    • 器具備品
    • 建物附属設備
    • ソフトウェア
  • 計画内容:
    • 国の基本方針および市区町村の導入促進基本計画に適合すること。
    • 先端設備等の導入が円滑かつ確実に実施されると見込まれること。
  • 事前確認: 認定経営革新等支援機関において、計画内容(特に労働生産性向上目標の達成可能性)について事前に確認を受けていること。

4. どんな支援が受けられるの?(支援措置)

「先端設備等導入計画」の認定を受けると、主に以下の支援措置を活用できます。

(1) 税制支援:固定資産税の特例

計画認定を受けた中小企業者のうち、一定の要件を満たす場合、新規取得した先端設備等にかかる固定資産税が軽減されます。

  • 対象者:
    • 資本金1億円以下の法人
    • 従業員数1,000人以下の個人事業主 等
    • (ただし、大企業の子会社などは除く)
  • 対象設備:
    • 計画に基づき新たに取得する上記「3. 計画の主な要件は?」に記載の設備種類(ソフトウェア除く)。
    • 最低取得価格要件あり(例:機械装置160万円以上、器具備品30万円以上など)。
    • 賃上げ方針を策定し、従業員に表明していること(計画への記載と証明書類の提出が必要)。
    • 認定経営革新等支援機関から、年平均の投資利益率が5%以上となることの確認を受けていること。
  • 特例措置の内容:(令和9年3月31日までに取得した設備が対象)
    • 賃上げ目標1.5%以上を表明した場合:3年間、課税標準を1/2に軽減。
    • 賃上げ目標3.0%以上を表明した場合:5年間、課税標準を1/4に軽減。
    ※賃上げ目標の計算方法や表明方法には詳細な規定があります。 ※市区町村によって対象設備等が異なる場合があります。

(2) 金融支援

計画に基づく事業に必要な設備投資等にかかる資金について、信用保証協会による信用保証のうち、別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。これにより、金融機関からの融資が受けやすくなる可能性があります。

5. 申請から認定、設備取得までの流れ

「先端設備等導入計画」の申請から認定、そして支援措置の活用までの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 計画策定と事前確認依頼:
    • 導入したい設備や生産性向上の目標などを盛り込んだ「先端設備等導入計画」を作成します。
    • 認定経営革新等支援機関に計画案を提示し、労働生産性向上目標等が達成可能かどうかの事前確認を依頼します。
    • 【固定資産税特例を希望する場合】投資計画(投資利益率が年平均5%以上か)についても確認を依頼します。
  2. 賃上げ方針の表明(固定資産税特例を希望する場合):
    • 従業員に対して、賃上げ方針(1.5%以上または3.0%以上)を表明します。
  3. 確認書の発行:
    • 認定経営革新等支援機関から「事前確認書」および【固定資産税特例希望の場合】「投資計画に関する確認書」が発行されます。
  4. 市区町村への計画申請:
    • 「先端設備等導入計画」の申請書に、認定経営革新等支援機関が発行した確認書、【固定資産税特例希望の場合】賃上げ方針を表明したことを証する書面などを添付して、設備を導入する市区町村に提出します。
  5. 市区町村による計画認定:
    • 市区町村が計画内容を審査し、要件を満たしていれば認定されます。
  6. 設備取得:
    • 必ず市区町村から計画の認定を受けた後に、計画に記載した先端設備等を取得します。
    • 【重要】計画認定前の設備取得は支援措置の対象外となりますので、絶対に避けてください。
  7. 税務申告(固定資産税特例を受ける場合):
    • 設備を取得した翌年の1月1日(賦課期日)以降に、所在地の市区町村へ税務申告を行います。

6. 計画作成・申請のポイント

  • 情報収集: まずは、自社が設備を導入する市区町村のウェブサイトなどで、「導入促進基本計画」が策定されているか、どのような業種や設備が対象となっているかを確認しましょう。
  • 認定経営革新等支援機関との連携: 計画作成段階から認定経営革新等支援機関に相談し、アドバイスを受けることがスムーズな申請・認定につながります。
  • 計画の具体性: 労働生産性の目標値やその算出根拠、導入する設備の具体的な内容や導入時期、資金調達計画などを明確に記載しましょう。
  • 賃上げ方針の検討: 固定資産税の特例活用を検討する場合は、賃上げ方針の策定と従業員への適切な表明が必要です。
  • 設備取得のタイミング: 繰り返しになりますが、設備の取得は必ず計画認定後に行いましょう。

7. まとめ

「先端設備等導入計画」は、中小企業の生産性向上に向けた設備投資を税制面・金融面から支援する強力な制度です。固定資産税の特例措置を活用できれば、設備投資の負担を大幅に軽減できます。

手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、認定経営革新等支援機関や市区町村の担当窓口に相談しながら進めることができます。

この機会にぜひ「先端設備等導入計画」の活用を検討し、最新設備の導入による生産性向上、そして企業の持続的な成長を実現しませんか?


【参考】
中小企業庁 先端設備等導入制度による支援
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/index.html

【免責事項】

制度内容や税制は変更される可能性があります。申請にあたっては、必ず最新の公的情報をご確認いただくか、お問い合わせフォームから弊社までご相談ください。

PAGE TOP